2012年4-5月
Rock Live BG(ブルガリア)で発表 マイケル・ロメオ インタヴューの和訳です。
ブルガリアとアメリカでの電話インタヴュー
英語原文は
こちら
(灰色のカッコ内は訳注、付加、脱線です)
インタヴュアー:Konstantin Yovkovさん
こんにちはマイク。お話を伺うことができてうれしいです。始めに、あなたとお話ができて、大変光栄に思っていることをお伝えさせてください。
ありがとう!
近頃の調子はどうですか?
調子は本当にいいよ。もうすぐ参加するフェス
(2012年6月2日 ブルガリア・ソフィアで開催のLoud Festival)を楽しみにしてるよ。本当にクールなことになりそうだなあ。
そう仰るのを聞けてうれしいです。では、(このインタヴュー当時の)最新アルバム "Iconoclast" の話題から始めましょう。ほぼ1年前のリリースですが。(2011年6月発売)アルバムの売れ行きや、現在までのところの、ファンやメディアからの反応には満足していますか?
そうだね、うん。おそらく、僕がいちばん気に入ってるアルバムだよ。新アルバムを作るときはいつだってそれがバンドのいちばんのお気に入りアルバムになるものだけど、僕個人として、いちばん気に入ってるアルバムは、確かに "Iconoclast" だよ。このアルバムで、僕達は何か今までと違うことをやろうとしたし、確実にすごくヘヴィなアルバムだね。前作 "Paradise Lost" もヘヴィなアルバムだったけど。
はい、僕の考えでは "Iconoclast" は本当に力強く、現在までのところ最高のSymphony Xアルバムです。
賛成(笑)。ギター・プレイヤーとしてちょっとヘヴィなことをやってみると、少年時代にギターを弾き始めた頃に聴いていて好きだった音楽に回帰するみたいな感じがあるね。で、"Paradise Lost" のテーマは「善と悪」的なことだったから、ちょっとヘヴィになるべくしてなった。 "Iconoclast" は「人間 対 マシーン」というテーマがあって、更にアグレッシヴになった。このアルバムを作り始めたとき、音楽にメカ的な雰囲気を出そうということをみんなで話し合っていて、そのまま、アルバムを作り上げていったんだ。仕上がりにはとても満足しているよ。
このアルバムで満足しない人は本当に少ないと思います。
(笑)そう聞けて良かったよ。僕達はこのアルバムに本当にたくさんのことを注ぎ込んだし、僕達にとって新アルバムとは、常に、何か新しいことを加え、クリエイティヴに、そして面白くなるように、という努力と同義なんだ。だから、ファンの人達がアルバムを気に入ってくれて、いいレヴューを読めたら、僕達はいい仕事をしたし、やりたかったことをできたと感じられるんだ。今回のアルバムの制作でしたことは、これまでのアルバムと同じだよ。これが "Symphony X" だ、僕達のスタイルだ、というものをやろうと努力すること。ただ、アルバムによって、ちょっとプログレ感が強いとか、よりヘヴィとか何でもいいけど、特徴を持つことになる。でも、全てのアルバムで、僕達は、これだという感じを探している。そして今回のアルバムは、まさにこれだという感じがしたんだ。
同じ方針を続けて行かれることを願っています。新しいことを探し求めるけれども、自分達に忠実、という方針を。
その「こと」を見つけようとするのが、毎回、ちょっとずつ難しくなってきてるんだよなあ。
"Iconoclast" は、ほぼ1年前に発表されましたが、まだ聴いたことのないファンに、ごく少ない言葉で説明するとしたら、どのように説明しますか?
わあ…
難しい質問ですか?
うん、そうだね。説明するのは難しいよ。ええと、メタル。土台の部分にはプログレとシンフォニックな要素がある。長くて複雑な曲が何曲かあって、他の曲は、それよりはちょっとストレートで、メロディがいい。
このアルバムの全曲、メロディがいいと思います。僕の個人的なお気に入りは "Reign In Madness" です。それで、このアルバムにはコンセプトがあるんですね?
ひとつの物語のように始まるコンセプト・アルバムだと言うのは難しいな。それよりは、テーマのあるアルバム、という感じかな。ほとんどの曲が、と言うか全曲が、テクノロジー、マシーン、人間 対 マシーンという題材を扱っている。さっき言ったように、このアルバムのメインのアイディアが「人間 対 マシーン」だからね。物語を作りたくはなくて、そのテーマにつながる題材をいくつも見つけた。1曲は、未来ファンタジーのような歌詞だけど、他の曲は - テクノロジー、携帯電話、コンピューターと共に生きている僕達の状態、そうしたものが僕達の生活をどれだけ変えたか、僕達がどのようにコミュニケーションを取り、どのように社会の中でお互いと関わり合っているか、ということに目を向けよう、という感じだよ。
バンドとしての作曲プロセスを説明して頂けますか?音楽と歌詞を作る上で中心になっているのは誰ですか?
音楽に関しては - 僕だね。かなり。最近のアルバム3、4作の作曲プロセスは、僕が1人で2、3ヶ月、土台のアイディア部分を作曲するところから始まった。それからみんなで集まって、バンドとして、また違ったことにいろいろ取り組んでいき、そして、それをくっつけて、全体をまとめるんだ。
今でも、あなたの所有するスタジオ "The Dungeon" (「地下牢」)でレコーディングしていますか?
うん、僕達は全部を、そこでやるよ。作曲していて何か決まると、すぐ録音してしまうんだ。歌詞については、僕とラッセルが2、3週間、いわばツルんで、いろいろ試してみる。
なるほど。
僕達のやり方は本当に普通ではないよ。曲の形が決まったデモ録音がたくさんあって、それからレコーディングのためのリハーサルを始める、というやり方じゃないんだ。ほぼ、作曲しながらレコーディングしてしまう。作曲して、すぐにその場でレコーディングしてみるんだ。
レコーディング中に何か変更ということもあるんですか?
いつも変更だよ(笑)。関係者みんなに聴かせるプレゼン用の、きちんとしたデモ音源を時間を取って作って、それで曲の基本部分については、充分はっきり描き出されたイメージをバンドみんなで共有してるから、変更もクールなことだよ。曲の構造は基本的にできていても、いろんな人の意見が入ってきて、更に何か加えていく。歌詞やメロディについても同じことだよ。僕達は、曲ができたときにあった最初のエネルギーを保つように、実際、努力してるんだ。リハーサルしすぎたり、曲を死ぬほどいじり倒したりすると、その曲を失ってしまうことがあるからね。でも、こういう方法は僕達がそうしているという話であって、みんながそれぞれ違う風にやってるよ。
はい、その方法はSymphony Xでは確実にうまく行っていますね!
(笑)そうだと願ってるよ!
この間の冬(2012年1月31日~3月11日)、Iced Earthと一緒に北米ツアーをされましたね。ツアーはどうでしたか?
おそらく、ここしばらく、僕達がやったツアーの中でいちばんクールなツアーだったよ。Iced Earthのみんなとは、だいぶ昔に出会ったけど、一緒に何かすることはなかった。それが今では6、7週間のツアーを一緒にやった。
はい、どちらのバンドも昨年、本当に強力なアルバムを発表したので、この組み合わせは驚きで、すばらしかったですね。
うん、ファンのみんなもすばらしかったし、ショウもすばらしかったし、人間関係の面でも、僕達とIced Earthはすばらしくうまく行ったよ。毎日、すごく楽しくて、本当にいい日々だったな。確実に、すごくクールなことだったし、僕達の経歴の中で最高なことのひとつだよ。
あなたのキャリアは今や、ほぼ20年になりますが、良い思い出と悪い思い出を、お話し頂けますか?記憶の中で、他のことから飛び抜けている思い出があるんじゃないかと思うのですが。
(笑)ああ、いっぱいあるよ。でも、正直なところ、悪い思い出というのはそんなにないよ。僕達はとてもラッキーだった。おそらく、僕がいちばんよく覚えているのは、始めにSymphony Xを結成して活動を開始した'94-'95年のことだね。アメリカでは、メタル・ライヴ会場がそんなになかったんだ。閉じてしまったり、他の何かになってしまったり、こういう音楽をやろうと思うと、何をするにも、ここアメリカでは本当に大変だった。
アルバムは日本から出ていて、その契約があること自体、僕達は本当に幸せだったんだ。
初ツアーで1998年に日本に行って、ファンのみんなに会って、自分のしていることを好きでいてくれる人達が居るんだとわかったときのことは、はっきりと覚えているよ。本当に熱狂的な出来事だった。
Symphony Xは始めに日本で、それからアメリカとヨーロッパで有名になったんですね?
アメリカは、たぶん最後だね。
日本での初ライヴのことは覚えているよ。僕達は「すげえ!この故郷との違い!」という感じだった。本当にクールなことだったし、アメリカに居るときとは違う風に感じたね。僕達は日本でなかなか有名になって、やがてヨーロッパと南米、その後からアメリカで有名になった。それもまたクールなことだったよ。メタル音楽の世界でどんどん変化が起こっているということだったから。
日本とヨーロッパのファンを比較して、お話し頂けますか?
まあ…全員が違うよね。
僕達はとても長いこと日本に行っていなくて、戻ることを本当に待ち望んでいるんだ。僕が覚えている限り、日本のファンはとても控えめだけど、本当に音楽を鑑賞してくれる。ヨーロッパのファンは、もっとクレイジーで、南米は - 更にもっと。でも概して、僕達が来たことと、ライヴで楽しいときを過ごすことで、幸せになってくれるのはみんな同じだよ。
では、2012年に戻りましょう。ラッセル・アレンとマイク・ポートノイのプロジェクト、
Adrenaline Mobについては、どうお考えですか?彼らは最近アルバム("Omertà" 2013年3月発売)を発表しましたね。
(「ラッセル・アレンとマイク・ポートノイのプロジェクト」と言うよりは、ラッセル・アレンとマイク・オーランドのプロジェクト、ですね。ファンなので横槍すみません!マイク・オーランドとラッセルが以前から友人で一緒に音楽を準備していて、一方、ポートノイ氏は2010年にDream Theaterを脱退、Avenged Sevenfoldのサポートも終わり、そこへAdrenaline Mobのデモ音源と共にラッセルからオファーが来て参加、という流れですね。当時彼らのインタヴューで読んだり聞いたりしました!そしてポートノイ氏は結局、他にもThe Winery Dogs, PSMS, Flying Colors, Trans Atlantic, Neal Morse Bandなどいろいろ多忙になりAdrenaline Mobは2013年に脱退しちゃいますね……
私はDream Theater(ポートノイ脱退後に聴き始め)→マイク・ポートノイのファンにもなる→Adrenaline Mob→ラッセル→Symphony X→はまってさあ大変というルートだったので、ここでAdrenaline Mobの話題が出て、ロメオ氏が語るのに出会ったということが、大変感慨深いです……大脱線すみません)
うん、うん。クールだよ!ラッセルはずっと何かして忙しくしていたい男だし、彼には何か違ったことをやりたい思いもあったんだ。それに、僕達はDream Theaterと一緒に数年前
(2007年)ヨーロッパツアーをしたからマイクのことも知ってたし、だから、OKだよ。
(更にロメオ氏とピネーラ氏は、マイク・オーランドのアルバム "Sonic Stomp II"(2010年)に参加してもいますね!)
マイク(・ポートノイ)があなたと一緒に演奏する可能性はありますか…ゲストとして?
わからないけど、あるかもね…マイクはクールな男だよ!それは疑いがない。
最近のプログレ・シーンについては、どう思われますか?好きな若手バンドが居ますか?
うん、若いバンドはたくさん居るし、クールな曲もたくさんあるよね。あんまり多いから、2、3挙げようと思ったら難しいぐらいに。このバンドのジャンル分けってやつをやると、とてもややこしくなることがあるよ。僕は、あるバンドの音楽を聴くとき、そのスタイルのことは考えてないこともあるんだ。ジャンル分けよりもっと大事なことは、みんながそれぞれ何か違ったことをやろうとしているということで、そんな中、バンドのジャンルを決めてレッテル貼りするのは難しいと思うよ。
では、Symphony Xに戻りましょう。次の公演はブルガリアのソフィア、Loud Festival(2012年6月2日)ですね。初めてのブルガリア公演ですが、ブルガリアのファンに期待することは何ですか?
みんなが、いい時間を過ごして、フェスを楽しむことだよ。きみが言ったように、僕達は今までブルガリアに行ったことがないから、ファンのみんなの反応を見るのを待っている状態だよ。
ここブルガリアのファンはSymphony Xの皆さんを圧倒すると、心しておいてください。
そうなの?
とても驚きますよ。
そう聞けて良かった!すばらしい公演になるだろうね。
でも、フェスでなかったら良かったのにと思いますよ。セットリストは短くなるとわかっていますから。そこが唯一、フェスのきらいな点です。でも、どうか気にしないでください。次回、単独公演があることに希望を持ちましょう。
うん。きみが言った通り、僕達にとって今回が初めてのブルガリア公演だからね、少なくともブルガリアに行けることになって良かったよ。そして将来 - どうなるかは誰にもわからないけど、戻ってくる努力をするよ。
でも、演奏時間が1時間かそれ以下だとしても、それでもフェスってクールだよ。クールな環境だよ。
Symphony Xの皆さんが、1時間でもベストを尽くすということは確信していますし、Loud Festivalでもそれをやってくれると確信しています。
うん。すごくクールなセットをやるよ。それは確信しておいて。
Loud Festivalのために特別な何かを計画していますか?それとも、通常どおりな進行ですか?
確実に、今までと違ったセットリストにはなるけど、アルバム "Iconoclast" がまだ新しいから、新曲をたくさんやろうとしているよ。
( 2012年6月2日 Loud Festivalのセットリスト Setlist.fmさんより)
それは良かったです。個人的に、新アルバムが大好きなので。
それでは、ちょっと妙な質問です。舞台裏のマイク・ロメオとは、どのような人物ですか?ギターを持っていないときのご自分を、どのように説明されますか?
(笑)わからないよ…ただの普通な奴だよ。みんなと同じことをするよ - 家で何か修理したり、芝生を刈ったり、家族の面倒をみたり。かなり家庭的な人間だね。
現在、手に入れているもの、していることに満足ですか?
めちゃくちゃ満足だよ!バンドがもっと成功するとか、そういうことは常に願うものだけど、この仕事は大変だからね。この仕事をして安定した生活をするのは大変だよ。でも僕達はたくさんのいろんな場所に行けるし、いろんな人達のために演奏できるし、たぶんこれは世界でいちばんクールなことだよ。だから、YES! 僕は満足だよ!
ブルガリアに居る、Symphony Xファンのみんなにメッセージをお願いします!
Loud Festivalでみんなに会うのを待ちきれないよ。僕達はこれまでブルガリアに行ったことがないから、ファンのみんなの反応を見るのが不安だし、ファンのみんなもきっと僕達を観るのが不安だろう。僕達は本当にすばらしい時間を過ごせるだろうし、それを楽しみにしているよ。新しい場所に行くのは、僕達にとっていつもエキサイティングなことだよ。
ブルガリアにいらした後、きっと長い間、ブルガリアのことを覚えているだろうと思いますよ。とても有名なバンド達が、ブルガリアを初めて訪れたとき、すごく興奮し、ブルガリアのファンに驚かされているんです。たとえば、Metallica, Megadeth, Slayer, Anthrax は "Big Four" DVDを、ソフィアで撮影しました。
あれはソフィアだったの?そりゃすごいな!これは絶対確実に楽しみだよ(笑)
それでは、このインタヴューを受けてくださって、本当にありがとうございます。Loud Festivalでお会いできる機会があることを願っています。
うん、そうだね!問題なしだよ、ただ僕を探してくれればいいよ。会って話をしよう。
はい、きっと!ありがとうございます!それでは、また!
きみにも、ありがとう。じゃあね。